○アートでがんばる商店街 秋田県大館市
1.視察の意図
経済産業省・中小企業庁「新・がんばる商店街77選」に選ばれた大館市大町商店街。
また平成21年度芸術文化振興基金助成金交付対象ともなっています。今年8月にも、同
商店街では「ゼロダテ/大館展2009」と銘打ち、多彩なアートイベントが成功を収めました。
どんな人たちが、どのように活動をしておられるのか、現地の息吹に触れたいと思いました。
2.概要
@活動内容 大館の駅を降りてタクシーで商店街へ。大町商店街はJRの駅からは車で5分程度の距離。
広い道路をはさんだ商店街通り。建物はどれも古く、一見して、何か特別なことがあるようには
思えない、そんな印象でした。
ハチ公のかわいらしいキャラクターの看板のあるゼロダテの事務所は、1階は店舗。案内いただ
き、2階の事務所へ。スタッフの方が待ってくれていました。
商店街の若き店主さん、といった面持ち。次第に打ち解け、対話も活発に。これまで全国各地
に飛んで視察し、市役所や国などの官公庁の役人を相手にさまざまに交渉もしてきた、そして
何より、地元の商店街のメンバーを取りまとめ、またアーティストと折衝をし、大学教授にアドバ
イスを求め…たくさんの山を越え谷を越えてきたベテランぶりがにじんでいます。
発案、議論、実働。どの場面でも気が抜けない。それが中心メンバーたちのご苦労でしょう。
でもとりたててスーパーマンなのではない。おそらくどこにでもいる商店主の方たち。ただ故郷
をこよなく愛し、そして自分たちの街と自分たちの商売を自分たちの力で立ち上がらせたい、
その情熱だけは誰にも負けない、という方たちだろうと思いました。
お聞きすればやはり同年輩たちの、いわば学校時代からの仲間。その親しさや気取りのなさ
が、お互いの、そうした故郷への思いを共鳴させ、振動を増幅させているのだと思えました。
あとはもう走りながら、恐れや心配を打ち消し、壁にぶつかってはみんなで解決にまい進して
きた、そのエネルギーだけが、この商店街の「がんばり」を支えているのだと思います。
古い商店街。ここをもしブルドーザーで整地して、更地にしてから何かを始めるというならば、
むしろその方があっさりと事は進むのかも知れません。だがそうではない。自分たちの、生まれ
育ってきた場所だからこそ価値がある、そこにこだわり、アートのチカラを借りて商店街の再生を
試みる。行政がやってくれ、誰かがやるだろうではなく、自分たちが立ち上がるというその中に、
人々の思いと行動とを結集し得た、その因があるのだろうと思いました。
私には商売の経験がなく、店を持った経験もありません。ですからこの商店街を引っ張る人た
ちがどのような思いで取り組まれ、そして苦労や困難を克服してここまで来られたのかを、
理解できたと言うつもりはありません。ただ、あらゆるお膳立て、よい環境、資源財源に恵まれて
いたとしても、この方々の情熱、これなくしては、この商店街もあらゆる企画も、成功に導けなか
ったであろうことだけはわかります。
さて、丸亀市において、商店街の振興に、私が中心となることはまず考えられません。
議員の立場で、予算を審議し、特別に、商店街に手厚く予算措置を講じることも今はできない
と思います。
視察に赴き、感じ取ったインパクトだけは心に刻んで、お話の中でもうかがった「使いやすいル
ール」「役所の人の態度も変わる」という言葉を胸に、まちを歩き、人を訪ねて、議論に加わり、
情報や人の渦巻きの中で、自分という存在を役立ててまいりたいと思います。